太陽の消えた世界

―3―


天満ちゃんが泣いていた。
否、俺が天満ちゃんを泣かせてしまった。

「うぅ…こんなのってないよ…
わたし八雲の前でどんな顔したらいいのかわかんないよ…」

俺は何も答えることができない。
すまねぇ天満ちゃん、俺が臆病者なばっかりに
妹さんにとんでもねぇ迷惑をかけちまった…

「…播磨君、ちゃんと自分で責任持って八雲に話してね」
「あぁ…言われなくてもそのつもりだ」

妹さんに土下座して謝らねぇといけねぇことぐらい俺だってわかってる。

「そっか…なら後は八雲と播磨君の問題だね。
八雲が許すって言うなら、わたしも全部忘れてあげるよ」
「塚本…」

…ゆ、許してくれるのか?こんな俺を。
すまねぇ…すまねぇ天満ちゃん!

 

 

 

「わたしは八雲のお姉ちゃんだもん…八雲がそれでも播磨君がいいって言うなら
わたしはもう何も言わない…それにもう今はあの頃の播磨君とは違うもんね…」

「…え?」

 

 

 

…しまった。
俺は素顔を見られた時点で全てが天満ちゃんにバレたと思いこんでいた。
だがよく考えてみれば俺があの時の変態さんであるということに気付かれただけ。
俺と妹さんが付き合っているという誤解は依然残ったままだったのだ。

「…そ、それは違うんだ塚本!」
「え?何が?」

言わなくてはいけない。どうしても言わなくては…

「俺と妹さんが付き合っているってのは誤解なんだ!」
「もー、まだそんなこと言ってるの?…あのね播磨君、八雲が許すんだったら
わたしは昔のことは気にしないよ。ちゃんと認めてあげるから別に隠さなくたって…」
「だから違うんだ!」

…ここで退いてしまったらいつもと同じだ。
天満ちゃんの言葉に耳を貸さず強い口調で再び言い切る。

「え?だって八雲と播磨君学校の屋上やバイト先でしょっちゅう会ってるって…
それに二学期の中間テストの時なんか八雲播磨君ちに泊ま…」
「…それを説明するためにも、言わなくちゃいけねーことがある」




――――そう、言うんだ。砕けろ、俺!




「好きだ塚本、いや天満ちゃん!」
「…え?」

続く

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