March,16,2004
「で、拳児君」
「なんだイトコ」
「これは何だね?」
「何って見りゃわかんだろ…ホワイトデーのお返しって奴だ」
「…はて、拳児君に何かあげたかな?」
「すっとぼけんなよイトコ!どうせ塚本君には貰えなかったんだろうとか
余計なこと抜かしながら恩着せがましく『恵んでやる』とか言ってくれただろうが!!」
「あぁ、あれか…あんな単なる冗談にちゃんとお返しをするとはキミも律儀な奴だな」
「…まぁんなこったろうとは思ったがな。一応貰ったという事実に変わりはねーし」
「そうか。有難く頂くよ拳児君」
「おう」
「…しかしこれキミが選んだのか?」
「いや、オレそーいうのさっぱりわかんねーから妹さんに見立ててもらった」
「ほう…」
「あー心配すんな、イトコにだとは言ってねぇから」
「そうか。じゃあ私の好みだけ伝えて見立ててもらったというわけだな」
「そんなところだ」
「…しかし彼女はどう思っただろうな」
「???」
「誰にかは言わずにただ『ホワイトデーのお返し』を見立てて貰ったのだろう?」
「あーそいつは大丈夫だ。別にイロコイとかそんなんじゃなくて単に日頃ちょっくら世話になってる人への
まぁ礼みたいなもんだって話はちゃんとしてあるぜ。もし天満ちゃんに伝わってもあらぬ誤解をされる心配はねぇ」
「…そうか。いや私は姉にどう伝わるかよりも彼女自身がどう思うかを心配したのだが」
「妹さんが?ちゃんと付き合ってもらった礼はしたぜ?」
「ほお」
「いや妹さんがえらく気に入ったのがあってな。イトコの好みじゃないっぽいんで却下したけど
なんか残念そうにしてたんで付き合ってくれた礼に妹さん本人にあげりゃいいかなと思ってな」
「またキミにしてはえらく気の利いた真似をしたもんだな」
「そうか?いや一応嬉しがってはくれたんだが何しろあーいう娘さんだろ?本当に喜んでくれたかイマイチ自信がなくてな」
「しかしとことん鈍感な上に天然だな…姉の前でそれができれば苦労しないだろうに」
「ん?何か言ったかイトコ?」
「いや別に」
おしまい。