縦笛良品

March,17,2006


「悪ィ、遅くなった花井」
「ん?周防か…大丈夫だ、まだ稽古までは時間がある」
「いや、掃除とか押し付けちゃったかなーと思って」
「別に気にすることはない、困ったときはお互い様だ…と言いたい所だが」
「ん?」
「またメルカドか?少しは控えないと太…」
「…そっから先口に出したらコロス」
「うっ…うむ、わかった」
「ったくどうしていつも一言多いんだか…ってか今日は違うよ」
「ふむ、そうか」
「『黒の眼』、って知ってるか?」
「黒の眼?」
「覚えてないか?前に話題になった伝説の占い師」
「…あぁ、そういえば名前だけは聞いたことがあったような気もするな」
「その黒の眼が復活しててさ、せっかくだからちょっと占ってもらったんだよ」
「なるほど…でどうだったのだ?」
「…結婚は22歳、子供は4人だってさ」
「また随分と早いし多いな」
「ったくあの野郎どういうイメージで人を見てるんだか…」
「ん?」
「あーいやいや何でもない…ってそうだ、花井も占ってもらえよ」
「僕がか?」
「ほら、八雲ちゃんとの相性とかさ」
「うっ!うむ、しかし…」
「大丈夫だって。お前なら特別価格で見てくれるよ…私も割引してもらったし」
「…どういうことだ?」
「行けばわかるって」
「???」

 

 

 

「……」
「……」
「…なるほどそういうことか周防」
「はい?お客さん?」
「いえこちらのことです…ところで貴方とはどこかで」
「他人の空似です」
「ふむ、そうですか」
「……」
「……」
「あ、あなたは特別に割引価格で見てしんぜよう…」
「よろしいのですか?」
「え、えぇ…で、ですからこのことは他言無用に願いますぞ…」
「…わかりました」
「で、何を占ってほしいのですかな?」
「あ、はい、恋愛運を見てほしいのですが」
「わかりました…ふむ、あなた誰か意中の方がいらっしゃいますね?」
「勿論。そうでなければそもそも占いなぞ頼みません」
「…ですがあなたの心の中にはもう一人大切に思ってらっしゃる方が」
「な、何を言う!?僕は八雲君一筋…」
「あなたはそちらの方と結ばれる運命です」
「冗談ではない!僕はそんな占いなぞ認めん!認めんぞ!!」
「ちなみに結婚は22歳、子供は4人…」
「な、なにぃ!!…おのれ貴様真面目にやらんか!」
「そ、そんな…このアレクサンダーはとても優秀で」
「おおかた高野あたりの差し金だろう!吐けぃ!吐かぬか!!」
「…やめろこのメガネ!ちゃんと占ったっつってんだろうが!!」
「なんだと!?」

 

 

 

「おうおかえり花井…占いどうだった?」
「そんな…そんな馬鹿なことが…」
「…おーい、どうした花井?」
「ん?…うわっ、す、すお…な、何でもないっ!!」
「おいちょっと待てよ」
「うっ!?…は、離せ周防!」
「どうしたんだよそんな顔赤くして…熱でもあんのか?」
「……」
「???」
「…うわぁぁぁぁぁぁぁ」
「おい、だから待てって…」
「許してくれ八雲くぅぅぅぅぅん」
「ったく何なんだよ…八雲ちゃんと相性サイアクとでも言われたのか?」

おしまい。


毎度お馴染み4コマネタ、今度は『はこいり良品』(井上トモコ)で。

…って我ながらまだ単行本も出てない作品のパロディーはどうなんだろうという気はしないでもない(w

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