January,13,2005
「おつかれさま播磨君」
「えっ!?…て…塚本」
「…播磨君もクッキー食べなよ」
「あ、あぁ…ありがとよ…」
「……」
「…うめぇぜ」
「そう、よかった…みんなで焼いたんだよ?」
「そうか…でどれが塚本の焼いたのなんだ?」
「あー、いや…それがね、『お前が入るとろくな事にならないから』って美コちゃんが言って…」
「…なるほどな(w」
「あ〜、播磨君までなんか納得してる〜…ひどーい」
「あ、いや悪ィ塚本…でもなんかそういうの凄え塚本らしい気がしてな」
「むぅー」
「まぁ人間得手不得手ってもんがあるんだからしょーがねぇだろ。
他に塚本のいいところもいっぱいあると思うし」
「え…そ、そうかな?」
「…少なくともオレはそう思うぜ」
「ありがとう播磨君…お世辞でも嬉しいよ」
「世辞じゃねぇよ。つーか世辞でこんな恥ずかしいこと言えるか…」
「あはははは…なんかそういうの播磨君らしいや」
「え…そ、そうか?」
「播磨君そういうトコ意外と不器用だよね」
「そ、そうかなぁ…?」
「そうだよ」
「…そうか」
「うん」
「……」
「……」
「…すまねぇな、なんか気ィ遣わせちまったみたいで」
「え?」
「オレこんなだからまだ微妙にクラスに馴染めてねぇし…」
「えー?そんなことないよー?」
「…まぁ確かに普段は割とフツーになってきたけどさ、こういう時になんか輪の中に入りづらいというか」
「うーん…それは単に播磨君が『いっぴきおーかみ』だからじゃないかなぁ?」
「一匹狼、なぁ…」
「晶ちゃんとか麻生君とかも割とそーいう感じだよね。でも馴染めてない、ってわけじゃないでしょ?」
「…まぁ確かにあの二人はそうだな」
「だから播磨君もちゃんと馴染めてるんだって、きっと」
「でもオレはこんなだし…」
「だいじょーぶ!確かに播磨君はちょっと不良っぽいとこあるけど
本当は優しい人だってきっとみんなもうわかってるはずだから!」
「て…塚本…」
「だから自信持って、ね?」
「あ、あぁ…」
「…よかった」
「……」
「……」
「…なぁ塚本」
「ん?」
「さっき言っただろ、塚本にもいいところいっぱいあるって」
「…うん」
「一つがこういうとこだと思うんだ」
「え?え?あ、いや、だってこれはただ単に自分のこともちゃんとできないのにお節介焼きなだけで
それにいつも勘違いで逆にメーワクかけちゃうことばっかだし、そんな人にほめてもらうようなことじゃ…(わたわた)」
「…例えそれが見当違いで逆に迷惑なことだったとしてもな、誰かが自分のために
一生懸命世話焼いてくれて悪い気がする奴はあんまいないと思うぜ」
「そ…そうなの?」
「あぁ、そういうもんだ…特にオレみたいな人間にとってはそれが凄え有難い」
「ありがとう…そう言ってくれると嬉しいよ。やっぱ播磨君はトクベツだし…」
「!!!…て、つ、塚本、それって…」
「だって…」
「……(ゴクリ)」
「私のクラスで播磨君が寂しい想いをしてたりしたら八雲に申し訳ないでしょ?」
「…へ?」
「播磨君は大事な未来のオトウトだもん。これぐらい当然だよ」
「あーいや、だからそうじゃなくて…」
「…もー、今更照れない照れない。私と播磨君の仲じゃないの」
「いや、だから…」
「だいじょーぶだいじょーぶ、ぜんぶおねーちゃんにまかせんしゃい!」
「……」
「…あ、烏丸君だ!…え、えっとクッキーみんなで作ったんだけど…」
「あ…オレのクッキー…」
「…ま、しゃーねーか。自分で見当違いでも構わねぇって言っちまったしな…」
おしまい。