March,30,2004
「…ありがとよ妹さん」
「あ、いえ…」
「いつも付き合ってもらって済まねぇ…いつかこの礼は必ず!」
「いや、そんな…」
その時彼女にある考えが浮かんだ。
「妹さんのためだけの漫画を描いてくれ?そんなもんでいいのか?」
―――それは、人の心が読める女の子のお話。
「プロの漫画家ってのは編集者がこうこうこういう話を描いてくれって
依頼してくるもんらしいからな。いい練習の機会かもしれねぇ」
―――自分に向けられた好意を読めるその女の子は、恋をした。
「…描いてみたぜ妹さん。どんなもんだ?」
―――その人は強くて、優しくて、そして…心が見えなかった。
「…そうか、面白かったか。そいつはよかったぜ」
―――それはとても悲しくて、苦しくて、悔しくて、切なくて、それでも…
「しかし面白い設定の話だったな…これ妹さんが考えたのかい?」
―――そんな女の子のお話。
「…ま、正直二人をくっつける展開に持っていくのに苦労したけどな」
―――そして私だけのためのお話。そう、誰かのためでなく私のための…
会話モノ以外にも挑戦してみようと思って書いてみた作品。
最初はもっとこう微笑ましい感じのほのぼのおにぎりにするつもりだったのに
出来上がってみたら何やら妙に切ないテイストで、これじゃあまるで
八雲が身を引く決意をして最後にせめてものお願いで漫画を描いてもらってる
失恋エンドのクライマックスシーンみたいじゃねーかというか何というか(w
(いや、それはそれで塚本姉妹の修羅場とかやられるよりは綺麗な終わらせ方だとは思うけど)